日頃私たちはお酒を楽しむとき、どこの蔵のお酒か、どんな米を使っているのかということは気にしても、米の生産者さんに思いを馳せることは少ないように思います。このお酒は、まさにその生産者の方にスポットをあてたいという思いでプロデュースして今年で3年目となります。
新庄市の農家、イシイファームの石井昭一さんに「陸羽132号」を無農薬無施肥で栽培していただき、醸造は長井市の鈴木酒造店さんに6号酵母使用にてお願いしました。3年目の今年はおりがらみの生酒のみで火入れはありません。白ぶどうを丸かじりしたようなジューシーさが特徴で、夏にぴったりのさらっとしたキレのある酒質に仕上がっています。
このお酒は少し置くことでより味が乗ってきますので、すぐに飲みきらないで少しずつ味わいが変化していくのを楽しむのもお勧めです。日本酒は寒い時期の飲み物という概念が覆される1本です。
【コラム】
生産者石井さんに無農薬で作ってもらった米は「陸羽132号」。これは、作家であり農業実践者、指導者でもあった宮沢賢治が、寒さに強い品種として東北で普及に努めたといわれています。宮沢賢治に師事し、賢治の「小作人たれ、農村劇をやれ」の教えを愚直に実践したのが、山形の鳥越地区(今の新庄市)の松田甚次郎氏でした。地主の息子ながら農民として全身全霊を注ぎ30代半ばで亡くなった松田甚次郎氏。その著「土に叫ぶ」はベストセラーとなり、続いて編集した「宮沢賢治名作選」により宮沢賢治の名を全国的に有名にしました。今回、松田甚次郎氏の著作からお酒の名前をいただきました。ラベルの写真は、松田甚次郎氏の親戚にあたる写真家、松田高明氏による撮影です。
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