1.若手社員(ゆとり世代)の特徴の二面性
若手社員(ゆとり世代)の特徴には二面性があります。特徴を活かせれば強みになります。しかし、特徴が悪影響へ向かえば弱みになります。評判の悪かった「ゆとり教育」も同様で、強みにも弱みにも変えられます。
若手社員(ゆとり世代)の強み・弱みについては、「若手社員ゆとり世代の特徴!強みを活かせば本当は戦力になる」の記事で説明しました。もう一度ここで簡単に整理すれば、そのポイントは次の通りです。
(1)反つめこみ教育(ゆとり教育)
強み:思考力重視。考える力を養った、知識偏重のデメリットを減らした。
弱み:「学力低下」「基本的な知識力や学力が低く、集中力が持たない」
(2)自分らしさ重視(個性重視、自己実現が尊い)
強み:創造性の発揮を求められる社会では、個性から価値のあるものが生まれる。他人と比較し、他人を蹴り落とすような無意味な競争はしない(全体最適化に向く)。多様性尊重は、創造性発揮の重要な方法論。自己実現は向上心の源になる。
弱み:「自己中心的」「他人とコミュニケーションをとるのが苦手」「好きな仕事しかしたくない」「自分らしさ第一で、会社が合わなければ退職する方が合理的」
(3)社会貢献(他者貢献)重視
良い点:非常に健全な働く意識(ニーズ)である。
悪い点:経済活動では、利益をあげることとの両立が常に求められ、葛藤が生じる。(特に、入社した直後は「人や社会の役に立つ仕事」のような経験が難しい。一見雑用に見える仕事が多い。)
(4)「コミュニケーション能力が無い」
弱み:「他人とコミュニケーションをとるのが苦手」「自分と考え方や価値観が違う人(上司など別世代の人)とのコミュニケーションが苦手、付き合わない」
(強みとはならないので、受け入れる企業側で弱み対策が必要)
(5)「会社と距離感がある」
弱み:「自分が一番大切」「プライベート重視」「熱意が無い」「言われたことしかやらない」
(強みとはならないので、受け入れる企業側で弱み対策が必要)
(6)「すぐ辞める」
弱み:「自分らしさ第一で、会社が合わなければ退職する方が合理的と考えがち」「ストレスに弱く、叱られると辞めてしまう」
(強みとはならないので、受け入れる企業側で弱み対策が必要)
2.若手社員(ゆとり世代)を指導育成する場合のポイント
では、どのように指導育成方法を改善していけばよいのでしょうか?若手社員(ゆとり世代)を指導育成する場合のポイントは次の通りです。
(1)働く仲間目線でアプローチする
働く仲間目線でアプローチしましょう。「上から目線で管理をしない」ということが大切です。企業組織は上意下達、上司の命令を部下が受けます。それは当然ですが、毎日毎日上から目線で管理をすると、若手社員(ゆとり世代)はやる気をなくします。
(実は、「上の命令が絶対」と思われる軍隊でさえも、昔の様に上意下達の命令マネジメントが全てではなくなってきています。不確実性の高い環境下では、詳細な命令ではなく、環境条件を共有したうえで包括的な方針や目標、目的を示し、兵士の自主性を尊重しているそうです。アメリカやイギリスの軍隊の一部ではそういったマネジメントが行われているそうです。)
そこで、次のようなポイントに配慮して接しましょう。
働く仲間意識で接しよう
支援しよう(コントロールしようとしない)
冷たい査定者の目で見ない
(2)対話しよう(まず聴こう、意見交換しよう)
A.「対話」とは何か
「対話」とは、一言で言えば「異なる意見や価値観を持った者たちが、話し合いながら理解を深め、より良いものを生み出す会話」です。当然、双方向のコミュニケーションになります。
もう少し簡単に言えば、「まず聴こう」「相手をの意見の価値を認めて、率直に意見交換しよう」ということです。
3.3つの言葉という効果的ツール
この効果的なツール:3つの言葉を使うと、自然に「相手を尊重したコミュニケーション」「双方向のコミュニケーション」「働く仲間目線のコミュニケーション」になるように配慮して作りました。だから、「コミュニケーションの方法論が間違っているのか?」などと、難しいことを考えなくても、自然に上手なコミュニケーション、指導育成が出来るようになるのです。
これらが組み合わさるコンビネーションの妙で、優れた指導育成が可能になります。
(1)第一の言葉「仕事をしていて嬉しかった体験がありますか?」
「仕事のポジティブな体験について話しましょう」という意味です。これは、「相手の人間性・個性を発見、尊重しよう」とする意味も持っています。だからこそ、個性重視世代の若手社員の心を開かせるのです。
(2)第二の言葉「仕事で何か困っていることはありませんか?」
「私は貴方を助けたいのです」という意味です。貴方から若手社員への支援表明です。「困っていることがあったら相談に乗りますから」と言外に含ませた言葉です。部下や後輩の仕事が上手く行くように手助けしてあげたいという思いやりにあふれた言葉です。
(3)第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」
第三の言葉「あなた一人でなく私と一緒に考えましょう」は、貴方と若手社員(部下や後輩)が働く仲間であるという協働者宣言です。上から目線の管理じゃないんだよというメッセージです。部下と上司、管理する者と管理される者という関係から、いっしょに働く仲間という関係目線へ変わっていく宣言なのです。