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企業による奨学金の代理返還制度活用

2023/05/22
本日は中小企業の経営者と、そこで働く従業員の方について有益な情報提供をしたいと思います。 対象は、学生時代に奨学金を借りて現在返済している方です。 大学時代等に、奨学金を借りて卒業した人も多いと思います。 この奨学金の返還ですが、今までは個人が受け取った給料の中から返還をしていたと思います。 しかし、2021年の4月から、勤め先の企業が直接奨学金の返還をする事が可能になったのをご存じでしょうか? (https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kigyoshien/index.html) ※日本学生支援機構ホームページ ■従来の奨学金の返還の流れ ① 企業が従業員に「給与」を支払う ② 従業員本人が日本学生支援機構へ奨学金を返還する これが2021年4月から、下記の返還方法も可能になっています。 ■企業による奨学金の代理返還の流れ ① 企業が直接日本学生支援機構へ奨学金の返還の納付が可能になった。 ■どのような違いと効果があるのか? 従来の奨学金の返還ですと、従業員は受け取った「給与」から返還をします。「給与」なので、所得税の課税対象になります。 また社会保険料などの報酬月額の算定対象にもなります。 つまり、従来の奨学金の返還の場合、企業だけでなく、従業員も所得税や住民税、社会保険料などの負担が増える可能性があったという事になります。 では、 ■企業が従業員の奨学金を代理返還した場合はどうなるのでしょうか? 企業が直接日本学生支援機構へ奨学金の返還を納付した場合は下記のような効果が期待できます。 ①従業員に対する所得税については、「非課税となり得る」※ ※参考出典 国税庁HP「質疑応答事例(所得税)」 ②企業に課される法人税については、「給与として損金算入できます」※ ※従業員の奨学金の返還に充当する給付のため、給与として損金算入可能。 となり、企業としても、従業員としても、所得税や法人税の軽減、社会保険料の負担の軽減など双方にメリットが発生します。 まとめると、奨学金の企業による代理返還制度を活用する事によって、下記のメリットが従業員・企業双方にメリットとして発生する可能性があります。 【企業側のメリット】 ・原則として、社会保険料の標準報酬月額の算定に含めないため、社会保険料が軽減される可能性があり、他にも法人税の課税面でもメリットが発生する可能性がある。 ・人材採用でアピール可能 企業の代理返還制度を導入している企業は、日本学生支援機構のホームページ上に企業名が記載されるだけでなく、大学などにも日本学生支援機構が紹介をする事が可能です。 企業に、奨学金返還支援(代理返還)制度を導入しているという事が求職者に対して福利厚生のアピールにつながります。 ・離職率の低下につながる可能性 奨学金の代理返還制度を導入することで、現に奨学金の返還をしている従業員の負担を減らす事ができます。従業員が企業に長く勤めるインセンティブにもつながるので、離職率の低下のためとして、役に立ちます。 【従業員(個人)側のメリット】 ・企業の代理返還制度を活用することで、奨学金の返還金が所得税の対象外になる可能性があり、社会保険料面も含め、従業員の負担軽減が見込まれます。 ・実際に奨学金を返還する主体が企業になるので、従業員個人が奨学金を返還する手間が省けます。 以上のように、奨学金の企業による代理返還制度を活用することによって、企業、従業員双方にメリットがある可能性があります。 また昨今の人手不足により、企業にとっても人材採用の確保は年々難しくなってきていると思います。 求職者に対して、 「当社は人を大事にしている。」 とアピールする事で良い人材の確保に当該制度を役立ててみてはいかがでしょうか?